あのコラボを見たとき、正直に思いました。「そしてこれならすぐ自分でできるぞ、へへへ」と。
6月末、エンダースキーマとアルテックのコラボが話題になりました。アルテックのスツールの脚先にヌメ革で「靴」を履かせるというプロダクトです。ベジタブルタンニンレザーの経年変化と北欧家具のシルエット——これは素直に格好いいと思いました!
うちにも脚がむき出しの椅子があります。革の端材もある。「やってみよう」と思った瞬間から動き始めていました。
結論から言うと、失敗しました!びっくりするほど。
椅子の脚カバー自作に向けた素材選び|半裁ピッグヌメと型紙作成


椅子は自宅のシンプルな木製チェア。細い丸脚です。この先端に、革を成形して「靴」のように被せたい。

使った素材は半裁ピッグヌメ。アンドレザーさんで購入した革の中に、ロール状で保管していたものがありました。ウェットモールド向けで購入したものでした。
椅子脚の断面を計測して、型紙を起こします。円筒形の脚先を包む構造なので、円錐形に近い展開図になります。
革を切り出し——ピッグヌメが硬くて革成形(ウェットモールディング)に不安


カッターで切り出します。4枚(4本の脚ぶん)。
切り出した瞬間に気づきました。めちゃくちゃ硬い。これで立体成形できるのか? ここで少し不安になりましたが、水に浸けると柔らかくなるはずと判断して続行します。型紙通り円錐形に近い形がベストなのですが硬すぎて曲線カットを断念!四角く切り出しました。
ウェットモールディング(水浸け30分)|革が柔らかくならない初期トラブル

ステンレスのバットに水を張り、パーツを投入。30分待ちます。
その間に椅子の脚にラップを巻いておきます。革の水分や染料が脚に移らないよう、型崩れ防止も兼ねて。


30分後、革を取り出してみます。……全然柔らかくなっていない。素材がヌメ革でも、このくらいの厚みと硬さだと30分では全く効かないようです。
丸1日水に浸ける|それでもピッグヌメの硬さが取れない理由


「もっと時間が必要なのでは」と判断して、そのまま1日浸けることにしました。翌日確認すると……まだ硬い。
ここで判断が変わります。茹でよう。
鍋のお湯で革を茹でる|熱湯によるウェットモールディングで革が反る事故

鍋にお湯を沸かして革を投入。湯で成形(ウェットモールディング)はレザークラフトの技法として存在するので、理論は合っているはずです。
しばらく茹でると、革に変化が出てきました。柔らかくなる瞬間がある。ただ同時に、めちゃくちゃ反りました。革が大きくうねって変形していきます。


柔らかくなったタイミングを見計らって取り出し、すぐに椅子の脚に押し当てます。
輪ゴムと結束バンドで固定・乾燥|いびつな形で固まりレザークラフト失敗

椅子の脚に革を押しつけて、輪ゴムと結束バンドで固定します。できるだけ脚の形に沿うよう手で押さえながら固定。このまま1日置きます。
翌日、外してみると——
いびつです。

乾燥して硬くなっていますが、脚の形には全くなっていない。茹でたときの反りが残ったまま固まっていたり、固定が甘かった部分が浮いたりしていて、とても使えない仕上がりです。
【失敗の原因考察】革成形(ウェットモールディング)の適切な温度と固定方法
・・・なぜ失敗したかを整理しておきます。
まず素材の選択。ピッグヌメは薄くて成形に向いていそうに見えましたが、実際にはかなり繊維が緻密で、水分を吸っても柔軟性が出にくいタイプでした。革の成形には素材選びが最初の関門です。
次に茹でる工程の制御。ウェットモールディングは「適切な温度と時間で柔らかくし、型に当てて固める」技法ですが、温度が高すぎると革が収縮・変形します。今回は鍋でぐつぐつ茹でてしまったので、温度が高すぎた可能性が高い。60〜70℃程度の湯に短時間浸けるのが正しいやり方のようです。
最後に固定の精度。柔らかい状態を型に押しつけて固定するとき、輪ゴムと結束バンドでは均等に圧をかけることができなかった。型を作って中から圧をかける、あるいは専用の道具が必要だったかもしれません。
失敗談でしたエンダースキーマ×アルテックの完成度と自作リベンジへの課題
エンダースキーマとアルテックのコラボが「プロが作ったもの」であることを、今回改めて実感しました。あの靴は、素材の選定・成形温度の制御・型の精度が全部揃っていて初めて成立するプロダクトです。
「見て、すぐに自分でも作れると思った」という判断は甘かったです。ただ、何が難しいかがわかった。素材の選び直し、温度管理、型の設計——改善点は明確です。もう一度やります。ではまた。
※ エンダースキーマ×アルテックのコラボについて:
出典:FASHIONSNAP「エンダースキーマがアルテックとコラボ、ヌメ革を用いたスツールやランプをパリで発表」(2026年6月25日)
URL:https://www.fashionsnap.com/article/2026-06-25/hender-scheme-artek/
※ 同コレクションは2026年10月にエンダースキーマ直営店「スキマ」・アルテック直営店・一部取り扱い店舗で発売予定(記事執筆時点)。
※ 使用素材:半裁ピッグヌメ(ミヤツグで購入)
※ ウェットモールディングの適温については一般的なレザークラフトの情報に基づきます。


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