「長く使える美しい道具」を自らの手で作る。次に選んだのは、.URUKUST(ウルクスト)さんの洗練されたデザインが光る工具箱です。

新調した木槌を収めるために型紙を横長にアレンジし、準備は万端。しかし、完成への道は想像以上に「素材」という特性の理解不足に阻まれることになりました。
素材選びの誘惑:なぜ「指定」を守らなかったのか
今回の型紙、本来の指定は1.6mmのカーフレザーです。しかし、私はあえて堅牢な「ヌメ革」を選びました。「硬いほうが長持ちし、道具箱として相応しいはずだ」というプロダクト的な直感による判断です。
しかし、この選択がのちの工程全てに「無理」を生じさせることになります。
制作工程での気づきと格闘
「別たち」による裁断のコツ


裁断にはOLFAの「別たち」を使用。実際に切る中で、刃の角度による使い分けが見えてきました。
- 直線: 刃を極力寝かせることで、ブレを抑えた安定した断裁が可能。
- 曲線: 刃を極力立てることで、小回りをきかせラインを追従しやすくする。
- 工夫: R(半径)を一度に切るスキルがなくても、数回に分けて慎重に進めれば綺麗に仕上がります。


裁断後のエッジが鋭すぎたため、ドレッサー(ヤスリ)で角を落としましたが、均一な美しさを出すためには「ヘリ落とし」の導入が急務であると痛感しました。
難所「漉き」と「カシメ」
側面パーツを縫い合わせる際、硬いヌメ革がどうしても曲がらず、裏側を削る「漉き(すき)」を敢行しました。




しかし、加減を誤り、刃が表面まで貫通するという痛恨のミス。 さらにカシメ打ちでも棒のサイズ選択を誤り、歪みが生じてしまいました。 道具とパーツの「正しい組み合わせ」の重要性を、身をもって学びました。漉き方も勉強が必要ですね


「完成」して分かったプロダクトの理屈
結局、革の弾性が強すぎて、指で押さえないと蓋が閉まらないという状態に。 本来付けるべきベルトも、この硬さでは機能しないと判断し、今回はオープンな工具入れとして完結させることにしました。


「硬いほうが良い」という先入観は、設計者が計算した「構造(柔軟性を前提とした設計)」を崩す要因でもあったのです。
4. 今回揃えた道具と、参考にした本
今回制作前に、追加の道具を揃えました。 木槌、ディバイダー……少しずつ増えていっています。


そして、今回型紙とは別に作成に参考にした本はこちらです。作り方が丁寧で分かり易い!ただ、型紙が実物大で付属しておらず、ページ内の図案を拡大コピーする必要があったのは少し残念なポイント。すぐに作業に入りたい方は、コピー必須です。

まとめ:失敗は最高の「道具学」
失敗だらけの初作品ですが、木槌を収めた姿には独特の存在感と愛着があります。
- 設計者の意図(素材指定)をリスペクトすること。
- 革漉きの技術は一朝一夕では身につかない
- 素材の「反発」もデザインの一部であること。
「長く使える美しい道具」への探求は、まだ始まったばかり。このヌメ革が飴色に変わる頃には、もう少し素材と仲良くなれていればと思います。




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