【私物公開】大島、結城、そしてウール。現代の「男着物 一式」のリアルな揃え方

【纏う(Wearing)】

「男の着物を始めたいが、何から揃えればいいのか分からない」 「最初から高級なものが必要なのだろうか?」

そんな悩みを持つ方に向けて、私の手元にある男着物 一式を公開します。祖父から譲り受けた伝統的な紬から、現代のテクノロジーが生んだポリエステル、そして時短のための作り帯まで。デザイナー視点で選んだ「理想と現実」の混ざり合ったラインナップです。


レギュラーとして回す、2つの「羽織・長着セット」

【大島紬】緻密な亀甲紋に宿る、正統派の美意識

やはり、絹(本正絹)の着物の中でも、大島紬には特別な風格があります。私の一着は、緻密な「亀甲紋」が施されたセットです。

袖を通した時のシュシュッという絹鳴りの音と、体に沿う軽やかな着心地。手入れに気を遣う面もありますが、大島紬ならではの光沢と落ち感の美しさは、やはり天然素材の素晴らしさを感じます。 ※[大島紬の亀甲紋については、こちらの解説が分かりやすいです(廣田紬株式会社|100亀甲とは? 奥が深い亀甲絣)

【絹×ウール】しつけ糸を解くのが楽しみな、寒い時期の日常着

絹の艶を残しつつ、ウールの「シワになりにくさ」を兼ね備えている。食事の席でも、多少の動きでも神経質にならずに済む「道具としての扱いやすさ」に期待しています。実際に着て出かけるのが今から楽しみです。着た時のシルエットなどは、また後日アップしますね。

【アーカイブ】祖父から譲り受けた、本場手紡ぎの結城紬

手持ちの中には、自分ではなかなか手が出せないような、時代を超えた名品もあります。

祖父が遺した三越製の「結城紬」です。調べてみると、どうやら当時三越が扱っていた、希少な本場手紡ぎ(てつむぎ)の逸品のようです。

結城紬特有の、ふわりと空気を孕んだような柔らかさと、それでいて芯のある強靭な生地感。機械織りでは決して出せない、手紡ぎ糸ならではの不規則なゆらぎと温かみがあります。触れるだけで、単なる既製品とは違う「背景にある膨大な時間と手仕事」が伝わってきます。

ただ、残念ながら私の体格にはサイズが小さく、このまま着ることはできません。 けれど、これだけの品物をただ「箪笥の肥やし」にしておくのは、あまりにもったいない。

かといって、安易なリメイクで生地を切り刻むようなことはしたくありません。 あくまで「着物」としての価値や品格を大切にしながら、今の時代にどう活かせるか。その方法を、素材と向き合いながらじっくりと考えていきたいと思っています。

肌に触れるものこそ、ストレスのない選択を

襦袢とステテコの必要十分な枚数

直接肌に触れるインナー類は、消耗品と割り切って実用性を重視しています。

現在は襦袢2枚、ステテコ2枚を交互に回しています。このあたりの「洗い替えのしやすさ」が、着物を億劫にさせないコツかもしれません。

[PR]追記 普段にも愛用している下着です。冬場も下手に締め付けられるタイツよりよっぽど気持ちよく、暖かく過ごせます。安いので何度もリピして買っています!

【お気に入り】見えない場所で遊ぶ、派手柄の長襦袢

2枚ある襦袢のうち、特にお気に入りなのがこちらの柄物です。

表からはほとんど見えない場所ですが、実はかなり派手で素敵な模様が入っています。こういう「自分にしかわからない場所」で遊べるのが、男着物の醍醐味ですよね。袖口からチラリと覗いた時の満足感が、着る楽しさを倍増させてくれます。

足元に添える少しの遊び心。白足袋と別珍足袋

足元は基本の白足袋のほかに、シックで温かい黒の別珍(ベッチン)足袋を1足持っています。

暖かさという機能性、足元で少しだけ素材感を外すお洒落感として冬場は重宝します。

帯選びに見る、合理性とこだわり

帯については、現在この3本を使い分けています。

ポリエステル帯と作り帯 正直、最初は「とりあえず」で揃えたものです。しかし実際に使ってみると、雨の日も気にせず使えるポリエステルの実用性や、数秒で装着できる作り帯の合理性は、忙しい現代人にとって「着物を着るハードル」を下げてくれる道具ですがやはりピシッと決まらないのが難点です。

リバーシブルの角帯 最近のお気に入りは、この厚手の角帯です。角帯にはリバーシブルのものも多いですが、この一本は生地の厚みがしっかりしていて、どちらの面を出しても安っぽくならないのが気に入っています。が、少し長いので使いづらい、、

帯選びは、これからの楽しみ

一生付き合えるような良い帯を手に入れたいな、と画策中です。ポリエステルの帯を卒業し、より締め心地を追求した「本物の一本」を揃えていくアップデートの過程も、このブログで記録していければと思います。

小物のニュアンスを変える「羽織紐」

羽織の印象を左右するのが、中央にくる羽織紐です。

現在は3種類を使い分けています。特に木製の「無双(むそう:Sカンで留めるタイプ)」は、糸で編まれたものとは違う「工芸品的な硬質感」があり、個人的にかなり気に入っているアイテムです。紐の平打ちは礼装にも使えとても素敵なものなのですが結びにくく、結び方が下手だと歪んでしまうので非常に使いづらい!

伝統的なものもよいですが、ここにオリジナルアイテムとしてクラフトや3Dプリントの技術が融合し使い勝手もデザインできたら面白いことになるはずです。


まとめ

まずは「今できる一式」で外へ

私の男着物 一式は、決して着物のプロのコレクションではありません。 しかし、最初から最高級品で揃えようとして足を止めるより、今の自分にできる組み合わせでまずは外出を。その経験こそが、自分なりの「物選びの基準」が把握できるはずです!

「いつかはこのポリエステルを卒業し、より上質な一本を」という未来の楽しみを抱えつつ、今の等身大のスタイルを楽しんでいます。

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なお、脱いだ後のケアとして欠かせない「男着物の正しい畳み方」については、別記事に詳しくまとめました。大切な着物を型崩れさせず、次に着る時も気持ちよく袖を通すための、私なりの手順です。あわせてチェックしてみてください。畳み方シーケンスという形でご紹介しています。

着物は、専門用語が多かったりなかなか踏み出しにくいですが着たもの勝ちです。まだまだ知識もアイテムも不足していますが、 私の試行錯誤が、これから着物を楽しもうとする方の何かのヒントになれば幸いです!

それでは、また。

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