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道後温泉 本館と飛鳥乃湯泉、両方行ってわかった違い。浴衣と下駄で巡る1泊2日レポート

【思考(Design & Life)】

普段は東京の街を自前の着物で歩くことが多いですが、今回は愛媛・松山まで足を延ばして、道後温泉に行ってきました。道中はいつもの普段着で移動し、宿泊先に着いてから持参した浴衣に着替え。せっかくなので、丸屋履物店で購入した下駄も一緒に連れて行きました。一日目は道後温泉本館、二日目は飛鳥乃湯泉と、2つの外湯をはしごしています。どちらも「道後温泉」の中の施設ですが、建物の雰囲気もコースの内容もかなり違ったので、その違いも含めてまとめます。

道後温泉駅は明治レトロな洋風建築

市内電車の終点、道後温泉駅で降りると、もうそこから雰囲気が違います。この駅舎、1911年(明治44年)に建てられた旧駅舎を復元したものだそうで、洋風の意匠がそのまま残っています。1階にはスターバックスも入っていて、レトロな外観と現代のチェーン店が同居している構図がなんだか面白いです。プロダクトとして見ると、こういう「歴史的な器に、今の生活を違和感なく収める」設計は、なかなか難しいことをやってのけているなと思います。

浴衣に下駄という装いで歩いていても、まわりの観光客の多くも宿の貸浴衣で街を歩いていて、浮くような感覚はまったくありませんでした。道後は浴衣で歩くのがむしろ普通の景色になっている、そんな温泉街です。

道後温泉本館「霊の湯」二階席の流れと料金

道後温泉本館は、1894年(明治27年)に建てられた木造三階建ての建物です。1994年(平成6年)には、公衆浴場として全国で初めて国の重要文化財に指定されました。夏目漱石が実際に通ったとされ、小説「坊っちゃん」にも登場することで有名です。2019年から続いていた保存修理工事は2024年7月11日に完了し、約5年半ぶりに全館での営業を再開しています。

本館には「神の湯」と「霊の湯」という2つの浴室があります。今回は霊の湯の二階席を選びました。神の湯に比べると休憩室が静かだと聞いていたのですが、実際に入ってみてその通りでした。落ち着いてゆっくり入れたのは、このコースを選んだのが正解だったと思います。

項目内容
コース名霊の湯 二階席
料金(大人)2,000円
利用時間1時間以内
付帯サービスお茶・お茶菓子の接待、貸浴衣、貸タオル
又新殿の見学無料で見学可能

休憩室は南棟2階の東側にある、25畳ほどの部屋。入るとすぐにお茶とせんべいが運ばれてきて、まずは一息つけます。

皇室専用浴室「又新殿」を無料見学

霊の湯二階席の特典として、又新殿を無料で見学できました。又新殿は1899年(明治32年)に建てられた、日本で唯一の皇室専用浴室です。実際に使われたのは1952年(昭和27年)が最後で、現在は入浴はできず見学のみとなっています。

室内は金箔・銀箔をふんだんに使った襖絵で覆われていて、明治の職人の手仕事がそのまま残っています。障壁画には道後にちなんだ花や鳥が描かれているそうで、豪華という言葉がそのまま形になったような空間でした。

1階の浴槽まわりには、石造りの意匠を凝らした一角もありました。壁面には鳥の浮彫が施されていて、道後に伝わる白鷺伝説を思わせる雰囲気でしたが、この彫刻の由来や題材については確認できていません。

飛鳥乃湯泉「二階大広間コース」で過ごす二日目

二日目は、本館のすぐ近くにある道後温泉別館 飛鳥乃湯泉へ。2017年に開業した、道後温泉では一番新しい外湯です。聖徳太子が596年に来浴したという伝説にちなみ、飛鳥時代の建築様式を取り入れているのが特徴で、屋根の上には道後温泉のシンボルでもある塔屋が配置されています。中庭は、聖徳太子が残したと伝わる碑文をもとに「椿の森」として再現されているそうです。

中庭に広がる道後温泉のアート作品

ちょうど今、この中庭では写真家・映画監督の蜷川実花さんとクリエイティブチームEiMによるアートプロジェクト「蜷川実花 with EiM × 道後温泉 DOGO ART」が開催中でした(会期:2025年10月10日〜2027年2月28日)。花や和傘をモチーフにした鮮やかな作品が床いっぱいに広がっていて、飛鳥時代がコンセプトの建物に現代アートが重なる、不思議な組み合わせを楽しめました。

デザイナー視点で見ると、歴史的建造物にアートを重ねるこの手のプロジェクトは、下手をすると建物の魅力を食ってしまいがちです。ただ道後の場合は、床面という「余白」に作品を展開することで、建物本体の意匠を邪魔せずに新しい体験を足していて、うまいバランスだと感じました。

飛鳥乃湯泉では「二階大広間コース」を利用しました。60畳の広さがある休憩室で、伊予竹細工の行灯と、大洲和紙にギルディング(金属箔)加工を施したシェードが、やわらかな光を落としています。

項目内容
コース名二階大広間コース
料金(大人)1,280円
利用時間1時間30分以内
付帯サービス貸浴衣、貸タオル、シャンプー・リンス・ボディソープ

休憩の合間には、お茶と季節の練り切りをいただきました。館内には白鷺伝説や椿など道後にまつわる意匠があちこちに散りばめられていて、歩いているだけでも発見があります。

道後温泉本館と飛鳥乃湯泉、まとめ

丸屋履物店で選んだ下駄は、2日間歩いても足元が痛くならず、良い相棒になってくれました。以前、下駄選びについて書いた記事もあるので、興味のある方はあわせてどうぞ。

道後温泉本館と飛鳥乃湯泉、実際に両方泊まりがけで行ってみると、静かに歴史を味わいたいなら本館の霊の湯、開放感のある新しい建物でゆったりしたいなら飛鳥乃湯泉、という違いを肌で感じました。一日目は明治レトロな本館の霊の湯でゆったり、二日目は飛鳥時代がコンセプトの飛鳥乃湯泉で現代アートも楽しむという、対照的な2日間になりました。旅の終わりに、砂浜で下駄を脱いで一息ついた時間も含めて、良い一日でした。

ではまた。

※ 道後温泉駅の駅舎について:GOOD LUCK TRIP「道後温泉駅」記事(https://www.gltjp.com/ja/directory/item/14622/、2026年9月6日確認)、スターバックス コーヒー ジャパン公式発表(2017年12月19日付、2026年9月6日確認)に基づきます。
※ 道後温泉本館の建築年・重要文化財指定・保存修理工事の完了時期について:道後温泉本館公式サイトお知らせ(https://dogo.jp/news/4031.html、2026年9月6日確認)、Wikipedia「道後温泉本館」(2026年9月6日確認)に基づきます。
※ 霊の湯二階席の料金・時間・付帯サービスについて:いよ観ネット「道後温泉本館」ページ(https://www.iyokannet.jp/spot/1513、2026年9月6日確認)、るるぶ&more.「道後温泉本館の楽しみ方案内」(https://rurubu.jp/andmore/article/2595、2026年9月6日確認)に基づきます。
※ 又新殿の建築年・由来・使用履歴について:松山市公式ホームページ「又新殿」(https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kanko/kankoguide/kankomeisho/dogoonsen/honkan/yushinden.html、2026年9月6日確認)に基づきます。
※ 又新殿まわりの石造りの彫刻(本文中に掲載の一角)の由来・題材については確認できていません。
※ 飛鳥乃湯泉の開業年・建物コンセプト・中庭の「椿の森」について:道後温泉本館公式サイト「飛鳥乃湯泉」ページ(https://dogo.jp/onsen/asuka、2026年9月6日確認)、松山市公式ホームページ「飛鳥乃湯泉 建設物語」(https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kanko/kankoguide/kankomeisho/dogoonsen/rekisiarudogoonsen.html、2026年9月6日確認)に基づきます。
※ 二階大広間コースの料金・時間・付帯サービスについて:るるぶ&more.「飛鳥乃湯泉」記事(https://rurubu.jp/andmore/article/22014、2026年9月6日確認)に基づきます。
※ 「蜷川実花 with EiM × 道後温泉 DOGO ART」の会期・展開場所について:DOGO ART公式サイト(https://dogoonsenart.com/、2026年9月6日確認)に基づきます。
※ 丸屋履物店については、以前の訪問時の店頭での説明(一次情報)および過去記事に基づきます。

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